悪意の遺棄

法律では夫婦の義務として、「夫婦は同居し、お互いに協力、扶助し合わなければならない」と定められている。(民法752条)。それら同居、協力、扶助義務を正当な理由もなく果たさない場合は「悪意の遺棄」とみなされる。

この場合の悪意とは法律的には、ある事実を知っていること、知りつつあることということを意味する。遺棄とは一般的に捨てることや置き去りにするという意味である。

相手が困ると理解した上で夫婦間の義務を果たさないような身勝手な行動をとれば、それは離婚原因となる。

具体的な例

  • 配偶者を追い出し、同居できないようにした。
  • 配偶者を置き去りにし、家庭を顧みない。
  • 嫌がらせをして、相手方がやむを得ず家を出たら、これ幸いと関係修復を拒否した。

配偶者の同意なく、一方的に居所を変更して同居できないようにしたといったケースが典型例である。

また、扶助・同居の義務に反しているように見える場合でも、実際にはそうせざるを得ない立場に仕向けた側が責任を取ることとなる。

悪意の遺棄に該当しない例

下記のケースなどは正当な理由があるため、悪意の遺棄に該当しない。

  • 配偶者からの暴力や不貞行為などが原因で別居する場合
  • 病気治療を行うための別居や健康上の都合で家事ができない場合
  • 子供の教育上の理由により別居する場合
  • 仕事の都合で単身赴任になり、別居する場合
  • 離婚に向けての話し合いの最中で別居する場合
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