逆送
家庭裁判所は、調査あるいは審判の結果少年が20歳以上であることが判明したとき、または、死刑、懲役または禁錮にあたる罪の事件について調査の結果、起こした犯罪の重大さ、情状等に照らして刑事処分相当と認めるときは検察官に再び少年を送り返し、成年と同様の公開の刑事裁判を受けるよう求める。この処分を逆送という。つまり、逆送されるのは成人と同じ刑事裁判を受けるべきであると判断された場合である。
逆送される事件の多くは、殺人事件や、傷害致死事件、強盗致傷事件など、人の生命や身体に重大な被害を与えた事件である。16歳以上の少年の故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた場合、原則的にこの逆送の処分が下される。
家庭裁判所が逆送の決定を行うと、検察官は成人と同じように地方裁判所に起訴し、成人と同じく刑事裁判が行われる。
しかし、少年法では裁判所は事実審理の結果、被告人の少年を保護処分に付するのが相当であると認めるときは決定をもって事件を家庭裁判所に移送しなければならないと規定している。この規定が適用されれば、事件は再び家庭裁判所に送致されて、保護処分がなされる可能性がある。
刑事裁判で有罪になれば前科になるが、保護処分は前科にはならない。